いつか焼酎を買い求めたあの店
外回りの仕事の合間、台東区三ノ輪付近で時間が空いたので、土手通りから、入り口にあしたのジョー像が設置されている、いろは会商店街のアーケードに入り、山谷や南千住付近を徘徊した。
言わずもがな、山谷は日雇い労働者の街、いわゆるドヤ街である。
というのも、もはや過去の話だろうか。
街を象徴するいろは会は、半分以上の店でシャッターがおろされ、人通りはほとんどない。
数少ない店の店員も、通りを行く男たちも手持無沙汰だ。
あらゆる意味で、行き場を失っている。
アーケードを抜けた先で、建物の解体工事が行われていた。
その工事柵の外から男が何やら叫んでいる。
どうやら工事に抗議をしている様子だ。
「うるせえんだよ!」などと言っているようにも聞こえるが、酒も入っているその声はうまく聞き取れるものではなかった。
その日の仕事のあと、気になって、googleのストリートビューをひらく。
撮影日がちょうど1年前ぐらいのその場所に建っていたのは、酒屋であった。
焼酎を返せ。