天空の三軒茶屋バッティングセンター
2年ほど前から草野球チームに入っていてるので、週末は野球に勤しむことも多い。
なので、週の半ばぐらいには、「バッティング練習でもして、次の試合では会心の一撃を…!」などと思い立ってしまう。
まさしく、サンデーアスリート気取りである。
そのときも、抑えきれないそんな思いを抱えたまま、自宅近くのバッティングセンターを探していた。
すると、なんと三軒茶屋にあるという情報を得た。
幸い、その日は仕事の都合でそのあたりに向かう予定だったので、これはよしとスーツ姿のまま意気揚々と、Googleマップが指し示す場所に向かった。
飲み屋がごちゃごちゃと集まる路地をくぐり抜け、こんなところにはたしてバッティングセンターが?と思わずにはいられなかったが、指し示すその場所に着いた。
しかし、そこにあったのは、店先にキャベツがゴロゴロ積まれた肉のハナマサだった。
おかしいなと思い、周囲をキョロキョロ見渡すと、その脇に「↑三軒茶屋バッティングセンター」という小さな看板が。
恐る恐るその看板が掲げられた通路を覗くと、現れたのがこんな景色。
ただの古ぼけたビルの非常階段やん。
妖しく光る赤色の非常灯、足を乗せることを躊躇してしまうような薄い金属製の螺旋階段。
さながら香港映画の世界だ。
これを登りきった先にバッティングセンターが…?
恐る恐る一歩ずつ歩みを進めるが、進めば進むほどますます怪しい。
階段をぐるぐる登る。
私の思いも逡巡する。
でも、打球の音が聞こえる。
間違いない。間違いない。
登りきった先にあったのは、天に一番近い、ヒミツの打撃訓練場だった。