ラ・マヒストラル

色んな町を訪れたときに思ったことや考えたことを中心に書きます。所以、放浪記です。写真はこっちに→ http://nkkwu.tumblr.com/

大井で排尿

最終レースの後、帰りがけに便所に寄り、用を足す。他に人はいない。

最中に、警備員のおやっさんが入ってきた。「従業員も利用させて頂くことがあります」という白々しい告知も、この競馬場には必要なく、当然のごとく彼らも利用する。

「最終は荒れましたか?」

排尿中の私におやっさんは尋ねる。

「ええ。まぁ、ヒモ荒れですね。」

排尿準備を整えた彼に過不足なく答える私。

「そうですか。でもまぁ今日はずっとかたかったですね。」と放尿先から視線を逸らすことなく、続けて返すおやっさん。

「そうですか?1番人気はほとんどアタマにこなかったですけどね。」

彼と私のあいだには、「荒れる、荒れない」について認識の相違があるのだろう。

噛み合わない会話が、さらにこの空間の居心地にむず痒さを与える。

レースが気になりつつも勤労していたをおやっさんと、酩酊ほろ酔いの私では、排尿量に差があったようで、あとから用を足していた彼が先にチャックを上げて便器から離れ、私の背後を通り過ぎた。

まだ何やらぶつぶつとつぶやいているが、排尿の終わり際が気になる私はそれほど耳を傾けるつもりはない。

 

手洗いに向かうかと思われたおやっさんはそのまま、「じゃあ、ありがとうございましたー。」と言い、私にも手洗い場にも見向きもせず、出ていった。