ラ・マヒストラル

色んな町を訪れたときに思ったことや考えたことを中心に書きます。所以、放浪記です。写真はこっちに→ http://nkkwu.tumblr.com/

ここは吉兆、どこかに吉兆

町中華でチャーハンを食いたくなり、恵比寿にある中華料理屋、吉兆へ。

入店すると、先客が何人かいた。

おもむろにL字のカウンターの隅の一席に陣取ろうとすると、足元は水浸し。

それもそのはず、その横の給水管から水漏れしているのだ。

そのうえ、店員さんが栓の開け閉めをすると、その振動で隣の席に置いた荷物が揺れる。

まるで給水管が動悸を起こしているようだ。

店の大将は注文が入った時以外、椅子に腰掛けているか立ち尽くしているか。

そのどちらかに関わらず、常に一点を見つめて微動だにしない。

片割れの店員と会話を交わすこともなく、押し黙っている。

唯一、発する言葉は、注文の掛け声に対する「おい」のみだ。

それ以外はただ、動悸を起こした水道栓の音だけが響く。

やがて出てきた今日のお目当て、チャーハンを一口。

水道栓の音がまた響いた。