ラ・マヒストラル

色んな町を訪れたときに思ったことや考えたことを中心に書きます。所以、放浪記です。写真はこっちに→ http://nkkwu.tumblr.com/

東武伊勢崎線、奥の方で

「このあたりの人は、どこで働いてるんだろうね?」

仕事や遊びやその他諸々で、東京から少し離れて北関東などへ向かった際、車窓の外の風景を見ながら、同行者がこうこぼしたことは一度ではない。数多ある。

東京からほんのわずか離れた、北関東でさえ、である。

他者の生活への想像力の欠如ゆえか、ないしはサラリーマン社会を前提とした東京在住者の視野の狭さゆえか、あるいはその他の何かがこうした素朴な疑問を生み出している。

少なくとも言えることは、人が生きていくうえで必要であろう農業や畜産業などの一次産業、あるいは食料品や日用品の小売りを行う個人の商店などという、(かつては)当たり前だった生業が、言葉の通りの「生活のための仕事」として、まったく想定されていないということだ。

おそらくは、ネクタイを締めて日々通勤するいわゆる会社員か、スーパーマーケットなどの店舗スタッフとして働く生活しか、うまく想像できていない。

それは「正規」か「非正規」かという違いでもある。

「どこで働いているんだろ?」という言葉のうしろに見え隠れするのは、このような二分化された労働環境に基づく社会観であろう。

 

そんなことを考えていると、

「デザイナー?そんなんでメシ食えるんかい?」

と生粋の農家の三男坊であるオヤジが上京した際に言い放った言葉が頭に浮かんだ。

当世の断層を示す言葉は至るところに。